日本は、国土が狭小でしかも可住地面積が小さく、かつ、多くの人口を抱えていることから、土地利用について種々の競合が生じています。
農地転用許可制度は、優良農地の確保と計画的土地利用の推進を図るため、農地を農地以外のものとする場合又は農地を農地以外のものにするため所有権等の権利設定又は移転を行う場合には、農地法上原則として都道府県知事の許可または大臣の許可(地方農政局長等))を必要しました。
具体的には、農地に住宅を建設したり、駐車場や資材置き場として利用しようとする場合など、農地を農用地以外の用途に利用する場合には、農地転用や農振除外の手続きが必要となります。
農地の区分
1.農業振興地域・・・10年以上にわたり総合的に農業振興を図るべき土地として、 法律でその使用が制限されてるもの
2.農用地区域・・・農業振興地域のうち、特に農用地等として利用を確保すべき土地
3.農振白地・・・「農用地区域」以外の土地。
農用地区域内の土地では、原則として農地を農用地以外の用途に利用することはできません。
農用地区域内の土地を農用地以外の用途に利用したい場合は、まず、農用地区域から除外(「農振除外」)を行って農振白地にした上で、農地の転用の許可を受ける必要があります。
<農振除外が認められるための要件>
1.農用地区域以外に代替すべき土地がないこと
2.土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと
3.農用地区域内の土地改良施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないこと
4.土地基盤整備事業完了後8年を経過しているものであること
農地法第3条
農地を農地のままで所有権を移転したり、賃借権等を設定する場合は、農業委員会へ許可申請書の提出が必要です。
農地取得のための下限面積要件は市全区域で耕作面積50a以上になります。
相続などで農地を取得される場合
農地法第3条第3項の規定により農地の権利を取得された方は権利取得を知った日から概ね10ヶ月以内に農業委員会にその旨を届け出なければなりません。届出様式は死亡届受付窓口もしくは農業委員会に用意してあります。
※届出をしなかったり、虚偽の届出をした者は、10万以下の過料に処せられます。
※この届出は権利取得の効力を発生させるものではありません。
農地法第18条
賃借権の設定された農地の貸し借りを終了させるときは、農業委員会に「合意解約通知書」を提出してください。
許可できない場合の主なもの(農地法第3条第2項)
・取得後、すべての農地を効率的に耕作すると認められない場合
・農業生産法人以外の法人が取得する場合
・取得後、農作業に常時従事すると認められない場合
・取得後、経営農地面積が下限面積以上にならない場合
・周辺の地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
農作業に常時従事しない個人及び農業生産法人以外の法人に対する賃借の許可要件等(農地法第3条第3項)
農地の賃借の許可については、次の要件を満たすときは、全ての農地の権利移動に係る許可要件のうち、法人については農業生産法人要件、個人については農作業常時従事要件を満たす必要がありません。
・農地を適正に利用していない場合に貸借を解除する旨の条件が契約に付されていること
・地域における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれること
・法人の場合、業務執行役員のうち一人以上の者が農業(企画管理労働等を含む。)に常時従事すること
農地法第4条(農地転用)
<規制の内容>
農地について権利を有する者が自己の目的のために転用する場合
<申請者>
転用を行う者(農地所有者等)
農地法第5条(権利移動+農地転用)
<規制の内容>
農地・採草放牧地を転用する際に、所有権等の権利の移転・設定が伴う場合
<申請者>
農地所有者と転用事業者 例.売主と買主、貸主と借主
・市街化区域内の農地は・・・農業委員会に届出
・市街化調整区域の農地
1.農地面積が4ha以下の場合…県知事許可
2.農地面積が4haを超える場合…農林水産大臣許可
許可不要なものの例
・国又は県が道路、農業用用排水施設その他の地域振興上又は農業振興上の必要性が高いと認められる施設であって農林水産省令(規則第28条)で定めるものの用に供するために転用する場合
・農業経営基盤強化促進法に基づく、利用集積計画に基づき転用する場合
・土地収用法等により、収用または使用した農地をその目的に転用する場合
・地方公共団体(都道府県を除く)が設置する道路、河川等で土地収用法第3条各号に掲げるもの(規則第28条1号〜3号までに掲げる施設、市役所、特別区の区役所、若しくは市町村役場の用に供する庁舎を除く)の敷地に転用する場合
・東日本高速道路株式会社、首都高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社並びに四国連絡高速道路株式会社又は地方道路公社が道路の敷地に転用する場合
・土地改良法に基づく土地改良事業によるもの
・土地区画整理法に基づく土地区画整理事業もしくは同法第3条、4条の土地区画整理の施行により道路、公園等の公共施設等を建設する場合、又はこれらの公共施設に転用された宅地の代替地とする場合
・電気事業者が送電用電気工作物の敷地に供するため、認定電気通信事業者が有線電気通信のための線路、空中線系若しくは中継施設等の敷地に供するために転用する場合
1.立地基準の概要
1.農用地区域内にある農地
<営農条件、市街地化の状況 >
市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地
<許可の可否>
原則不許可(農振法第10条第3項の農用地利用計画において指定された用途の場合等に許可)
2.甲種農地
<営農条件、市街地化の状況 >
第1種農地の条件を満たす農地であって、市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(8年以内)等特に良好な営農条件を備えている農地
<許可の可否>
原則不許可(土地収用法第26条の告示に係る事業の場合等に許可)
3.第1種農地
<営農条件、市街地化の状況 >
10ha以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地
<許可の可否>
原則不許可(土地収用法対象事業の用に供する場合等に許可)
4.第2種農地
<営農条件、市街地化の状況 >
鉄道の駅が500m以内にある等市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地
<許可の可否>
周辺の他の土地に立地することができない場合等は許可
5.第3種農地
<営農条件、市街地化の状況 >
鉄道の駅が300m以内にある等の市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地
<許可の可否>
原則許可
2.一般基準の概要
立地基準に適合する場合でも、次のいずれかに該当する場合は、許可できません。
1.農地を転用して、その用途に供することが確実でない場合
2.申請する農地の面積が、事業の目的からみて適正でない場合
3.周辺農地の営農条件に支障を及ぼすおそれがある場合
4.一時転用の場合、その農地が農地として利用できる状態に回復されることが確実でないとき
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